2024年度公開講座
東京大学大学院数理科学研究科
数物フロンティア国際卓越大学院
2024年度公開講座「爆発の数学」
2024年11月23日(土・祝)13:30~17:00(12:30開場)
場所:東京大学駒場キャンパス 数理科学研究科棟・大講義室
最寄駅:京王井の頭線「駒場東大前」
アクセス:https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/access/index.html
*対面形式,事前登録不要,入場無料.
*当日は,東京大学駒場キャンパスにて「第75回駒場祭」が開催中です.
*対象:高校生,大学生,教員,数学に興味のある一般の方.
講師:石井 志保子,本多 正平,今野 北斗
プログラム
12:30
開場
13:30-13:35
研究科長挨拶 平地 健吾(東京大学大学院数理科学研究科)
13:35-14:35
石井 志保子(東京大学大学院数理科学研究科)
『代数多様体の爆発(Blow up)』
「爆発」と聞くと,破壊や制御不能といったイメージを持つかもしれませんが,実は代数幾何学ではとても役立つ基本的な操作です.この操作を使うことで「特異点」と呼ばれる特殊な点を解消することができるのです.これが,1960年代に広中平祐先生が証明された「特異点解消定理」です.この定理のおかげで、代数幾何学は飛躍的に進展しました.広中先生は、この業績によりフィールズ賞を受賞されています.今回の講演では、特異点とは何か,という説明から始め,平面上で行われる「爆発」という操作を,数式とアニメーションを使ってわかりやすく説明し,特異点を持つ曲線がどのように特異点を解消していくのか,その過程を一緒に体験していただきます.
14:45-15:45
本多 正平(東京大学大学院数理科学研究科)
『爆発する曲率とアインシュタイン』
リーマン幾何学では,①断面曲率,②リッチ曲率,③スカラー曲率と呼ばれる三大曲率があり,この順に情報が落ちている.本講演では②は爆発しないが,①が爆発するかもしれない現象を調べる.そうするとなぜかアインシュタイン4次元空間がどれくらいあるのかがわかる.この話題は5次元以上では謎に包まれている.
16:00-17:00
今野 北斗(東京大学大学院数理科学研究科)
『方程式の解の爆発と4次元の幾何学』
解きたい方程式があったとき,明らかに解を持つ簡単な方程式から,本当に解きたい方程式までを,連続的なパラメータで結んでみます.このパラメータの途中で解が爆発してしまうと,本当に解きたかった方程式まで届きません.爆発がなければ,「数学的帰納法の連続版」のような議論で,本当に解きたかった方程式が解けることがあります.このような議論と,解が実際に爆発してしまう議論とを組み合わせることで,数学的に存在し得る4次元空間の形(トポロジー)に制約がかかることがあります.そのような議論の一端をご紹介します.